家の塗り替えをしていると、隣に住む奥さんが「就職は決まったの？」と聞いてきた。
末っ子の就職が決まったことで、子育てが一段落ついた。
子供が学生だと、お金が色々掛かり、家の塗り替えをする余裕はなく、金属製の手すりは錆びて、庭には塗装の破片が無数に落ちている。
私、「長年、御迷惑をお掛けしてスイマセン」
謝ったのは、お隣の庭にも、うちの塗装片が無数に落ちてしまっているから。
家に帰り
私、「お隣に落ちた、うちの塗装片は、うちが拾ったほうが良いわよね？」
旦那、「塗装業者さんが拾ってくれるだろう」
私、「塗り替え作業で出た塗装片ではないのよ」
旦那、「だったら、うちが拾わないといけないよ」
私、「そうよね」

私、「塗装片を拾いに行く際は、何か持ってったほうが良いかしら」
旦那、「長年、御迷惑をお掛けしたから、手ぶらってわけにはいかないだろ」
私、「そうよね」

旦那、「家の塗り替えをする前には、お隣さんに挨拶に行ってないの？」
私、「業者の監督さんが挨拶に行ってくれたから、私はしてない」
旦那、「それはマズイよ」
私、「そうよね」

旦那、「お隣さんだけ挨拶するの？他には挨拶はしないの？」
私、「したほうが良いかしら？」
旦那、「そりゃしないとマズイだろ」
私、「何処まで挨拶に行けば良いの？」
旦那、「常識的には向こう三軒両隣って言うじゃない」
私、「それって、引っ越しの挨拶の時じゃないの？」
旦那、「同じだよ」

旦那、「挨拶に行くのに、変なモノを持って行くなよ」
私、「何を持ってけば良いの？」
旦那、「それくらい自分で考えろよ」
旦那はいつも口ばかりで、家の塗り替えの際も何もしてくれなかった。