私の実家は、小さなカフェを営んでいます。築40年近い木造の建物で、どこか懐かしさを感じる雰囲気が売りでもありました。ただ、年季が入りすぎて「味」では済まされない状態になってきていたのです。とくに外壁の塗装は色あせが目立ち、雨のたびに水の染みが浮かぶようになっていました。お客さまから「古さがいいね」と言われることもありましたが、私は密かにその言葉に焦りを感じていたのが本音です。
そんなある日、母がぽつりと「そろそろ塗り直したほうがいいかもしれないわね」と言ったのをきっかけに、外壁塗装の計画を立て始めました。費用の心配もありましたが、これからもこの店を続けていくなら、お客さまにとっても気持ちのよい空間にしたいと思ったのです。
カラーについてはかなり悩みました。昔ながらの喫茶店風から少し抜け出して、明るく清潔感のあるベージュとグリーンのツートーンに挑戦することにしました。最初は「店の雰囲気が変わってしまうのでは」と母も不安そうでしたが、完成した外観を見て「新しいけど懐かしい」と笑ってくれました。私も同じ気持ちでした。
工事中はカフェの営業を続けていたので、騒音や臭いへの配慮を念入りにお願い。その点でも、職人さんたちはとても気を使ってくださり、足場の出入り時間を営業時間外に調整してくれるなど、細やかな心遣いが印象に残っています。お客さまからも「工事中とは思えないくらい静かね」と言われたほどです。
塗装工事が完了してからというもの、初めて来店するお客さまの数が明らかに増えました。外観が明るくなったことで、入りやすい印象になったのだと思います。SNSで写真を撮ってくださる方も増え、思わぬ宣伝効果にもつながっています。